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〜 from 千葉 〜

阿部 弘(日本富貴蘭会理事/千葉県)

阿部 弘

日本列島はここ十数年、地球的規模の天変地異に巻き込まれております。東日本大震災、熊本地震、突如現れ始めた線状降水帯による豪雨災害で堤防の決壊、山崩れ等々、災害に合われた方々には一刻も早い復旧を心より願っております。

年末より騒がれ始め、八月現在でも猛威を振るっている新型コロナウイルスの感染拡大防止の為、令和二年度の日本富貴蘭会美術品評全国大会も中止となり、各地の展示会や交換会も軒並み自粛となりました。各地の趣味者、事業者の方々のストレスが溜まっている時期ではないでしょうか。

昨今の日本富貴蘭会も時代の流れに逆らえず、趣味者の高齢化と戦い、喘いでいる様に見えます。しかし、最近は富貴蘭界の旧態依然の体制から脱却しようと、夏の花の会の名称変更及び企画の見直しや、数年フリーズしたままの日本富貴蘭会ホームページの刷新等の眼に見える頑張りが伺えます。また、会報の付録の様な扱いの富貴蘭銘鑑ですが、この伝統園芸らしい由緒ある番付表は、是非継続して残してほしいと思います。単に順位の羅列ではなく、何故この位置に名があり、何が今流行っていて、どの様に素晴らしい木なのだろうかと棚の富貴蘭を手に取り思いを馳せるのも楽しいものです。

最近よく聞かれるのですが、蘭舎の向きは? 朝日は当たります? 何時頃まで陽が当たります? 風は通りますか? と、富貴蘭初心者の方々は様々な疑問や知識欲にあふれています。さて、全てが理想的な条件をそろえている愛好家は何人? 何十人? 居るのでしょうか? 参考としては園芸誌の『園芸JAPAN』にて毎月富貴蘭を取り上げており、全国の棚の環境、栽培方法、品種紹介など、若き編集者が精力的に取材をし、渾身の編集をしています。諸先輩方の貴重な経験談や、この様な専門書を是非参考にして頂きたいと思います。

今後は日本富貴蘭会会員として、また一趣味者として是非新しいバイブルとなる富貴蘭辞典の発行は出来ないものでしょうか? 役員の方々の中には品種を網羅し精通しておられる方々が多数いらっしゃると思います。是非日本富貴蘭会が主体となって制作して頂きたいものです。毎年決算で同規模の繰越金を計上してもタンス貯金と同じで、有意義なお金を使ってこその年会費と思います。今後の富貴蘭業界の継続的な発展の為にも、将来を見据えた投資が必要な時期に来ているのではないでしょうか。