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〜 from 四国 〜

小笠原 浩(日本富貴蘭会副会長・四国富貴蘭会会長/愛媛県)

小笠原 浩

この度は、新型コロナ渦の為、楽しみにされていた全国大会・展示会等が無くなり非常に残念に思っておりますと共に、お亡くなりになられた方々に心からご冥福をお祈り申し上げます。乱文で申し訳ないですが、少し私の想いを書かせて頂きます。最近の展示についてですが、数年前から全国大会における展示品の出品が少なく感じられます。未登録品だから、高額品種には勝てないから、値下がりしたので株をばらしてしまったから、大会に持っていくと木が傷むから、などの理由で展示品を持っていくのを止めたという人が沢山いらっしゃるように思います。

富貴蘭の金額が高い品種は、鉢数が少ない品種や特殊芸の人気の有る品種(羆・湖東錦等)で、安価な品種は沢山増えた物です。「裾物」とよく言われますが、私は前にもお話したように本当の愛培家や富貴蘭に対して失礼だと思います。例を挙げてみますと、西出都などは沢山の芽変わりを生み、大八洲も黄色い花を咲かせ、過去の銘鑑でも上段に有ったと思います。私の所属する四国富貴蘭会では、「裾物」と呼ばずに「大衆品」と呼ぶようにしています。何故なら皆等しく同じ香りのする可憐な花を咲かせるではありませんか。あくまでも私感ですが、展示会で何らかの賞を取るには、良い株をお金で買えば誰でも簡単に取れるようになってきたと感じています。

私はあえてその大衆品を藪立ちではなく、これから始める人達にも夢を与える様な美術株を作り、もう一度内閣総理大臣賞を目指したいと思っております。このまま行けば近い将来に富貴蘭愛好家が減少し、この業界も衰退してしまうのではないでしょうか。安価な大衆品でも同じ香りのする富貴蘭を女性や若者、また海外の人達にも育てて頂きたいですし、美術株を作って賞が取れるように頑張って頂きたいと存じます。

最近も私の家で趣味者が集まり、蘭談義をし、カイガラムシの話で久しぶりに大笑いしたものです。富貴蘭は趣味なのですから楽しくやらなければ面白くないですよね。あくまでも人は人、ご自分のスタイルで末永く富貴蘭を楽しんで頂きたいものです。最後になりますが、この富貴蘭を江戸から令和、そして後世に末永く伝えて行くのが私の夢です。